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賃料減額請求はサブリース契約でも適用…最高裁の判決。

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2004年11月15日 第521号

サブリース賃料についての新たな最高裁判決です。2003年10月の最高裁でサブリース賃料についての判例と同じ結論です。

2年ごとに家賃の自動増額


繊維織物業を営んでいたA社は工場の操業を廃止しました。

そして長谷工コーポレーションのグループ会社(以下「長谷工」とします)の提案を受けて、金融機関からの借入金により賃貸用建物2棟を建築します。

平成5年3月に建物は完成、長谷工とA社とは20年間の建物賃貸借契約を締結します。賃料は128戸のワンルーム棟について月額653万円、駐車場90台分が月額50万円、事務所棟が月額225万円、合計で月額928万円でのサブリースでの借り上げです。

そして2年後の平成7年4月には賃料を5%増額し、その後2年経過するごとに5%増額するという自動増額の約定になっていました。経済情勢の著しい変動が生じた場合には協議の上で5%以上の増額ができる、との約定はありますが、減額についての約定はありません。

2年後の平成7年4月には約定通り974万円に増額されます。

平成9年4月には契約上では1023万円に増額されるはず。しかし長谷工は応じずに974万円での支払いを続けます。この間に家賃の下落は続き長谷工は大幅逆ザヤになったようです。

長谷工はついに家賃値下げを切り出します。平成11年4月からは515万円に減額、平成13年4月には454万にするとの意思表示をします。ただし実際には974万円の支払いを継続しています。

家賃の減額請求


そして裁判になります。

借地借家法32条は賃料減額請求権を定めています。建物賃貸借契約では、たとえ「家賃の減額は絶対にしません」という定めの約定があっても、世間相場が下がれば、賃借人は家賃の減額請求ができ、それにより家賃は減額されます。

長谷工は減額請求により平成11年4月からの賃料は減額されたのだから、それ以降の実際の支払額との差額につき法定利息を付けて返還しろと訴えます。

一方でA社は約定通りに増額されたとの確認をもとめ、また増額後の賃料をもとにして不足する差額に遅延損害金を付けて支払えと反訴します。


共同事業だから…大阪高裁


大阪高裁は減額請求についてA社の考えを認めます。家賃の差額についての支払いを長谷工に求める判決でした。

「本件契約は建物賃貸借契約の性質を有することは否定できないが、通常の賃貸借契約と異なり、共同事業契約の性質を有するものであって、借地借家法が当然に全面的に適用されると解するのは相当ではなく、…」

つまりサラリーマンや学生がアパート一部屋を借りるのなら減額請求は当然だけれども、この事案ような共同事業的契約には認めるべきではない。ただし自動増額の約定はその後の経済事情の著しい変動もあるので適用しない、という結論でした。

平成11年4月以降の増額は認めないが、減額も認めないということです。平成9年4月の増額後の賃料1023万円が続いているということになりました。

建物賃貸借だから…最高裁


さて2004年11月8日の最高裁判決は、長谷工の勝利です。

「本件契約は…建物の賃貸借契約であることが明らかであるから、本件契約には借地借家法32条の規定が適用されるべきものである。」

実態が共同事業であったとしても建物賃貸借である以上は法で定められた減額請求を認めるべき、という結論です。

ただし共同事業的との経緯や自動増額約定があり、これらを前提に当事者は契約したはずだから、単純に世間相場の賃料に減額するのではなく事情をくんだ上で、法の適用や減額幅を決めろといっています。


具体的な金額等については大阪高裁へ差し戻しです。

現在では定期借家契約を使い賃料減額請求の排除が可能です。


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