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賃料減額請求が困難なサブリース契約はどのような類型か

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2006年2月27日 第582号

家賃の減額請求は可能か?


定期借家契約なら賃料を長期間固定できます。20年間の賃料を固定することも可能です。

しかし旧来の借家契約は違います。約束した賃料でも増減を請求できます。更に「減額しない」という特約は無効で、特約があっても減額を請求できます。

「借地借家法第32条 建物の借賃が、……経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、…将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。」


サブリースの減額請求は?


住友不動産は旺文社関連会社にサブリースによる土地活用を提案し、その関連会社は住友不動産からの敷金50億円と銀行借入180億円とでビルを建築し住友不動産に平成3年賃貸します。

契約期間は15年で中途解約不可。賃料は年20億円で3年ごと値上げする契約で、賃料値下げの定めはありません。

賃料相場は急落。住友不動産は賃料の減額請求をします。平成6年4月には14億円へ、同11月に9億円へ、平成9年3月に8億円へ、平成11年3月には5億円へと、それぞれ減額請求を続けます。

通常のアパートの賃貸借ならばともかくも、サブリースは形式的には賃貸借契約であってもその実態は共同事業契約なのであり、賃料減額請求はできない、との考え方もありました。そうであれば減額請求はできません。

2003年10月21日に最高裁の判断がなされます。サブリース契約であっても、それが建物賃貸借契約である限りは、賃料減額請求が可能だと判断します。ただし家賃をどこまで引き下げるかについては、借入金返済事情その他様々な事情を考慮しなくてはいけないとして、その判断を東京高裁に差し戻しました。

「サブリース契約でも賃料減額請求は可能」しかし「値下げ幅は様々な事情を考慮しなくてはいけない」という結論です。


結果はどちらの勝ちなのか?


東京高裁で和解となりました。判決でなく和解なので詳細は闇の中です。ただ住友不動産によれば、2005年11月に和解し和解金17億円を受け取るとあります。

日本経済新聞2005.12.20.によれば「住友不動産が主張した賃料の減額がすべて認められた場合、払い込み済みの賃料の返還額は百数十億円に達したとみられるが、実際の受取額は少額にとどまった。」。確かに全体から見るとわずかな金額です。

最高裁判決では「サブリース契約であっても賃料減額請求は可能」という部分に注目が集まり、住友不動産の勝ちとも言われましたが、この金額から見ると、住友不動産の負けのようです。和解においては「様々な事情」を考慮することで金額が定まったのでしょう。

つまり「一定のサブリース契約においては、賃料減額請求は可能なものの、減額できる金額はわずか。」ということが結論のようです。


賃料減額で考慮されるのは?


最高裁判決では、この事案は、不動産賃貸等を目的とする会社が転貸事業を行うために締結したもので、当事者間において賃貸期間、当初賃料及び賃料の改定等において協議を調え、その結果を前提とした収支予測の下に、敷金の預託を受け、金融機関から融資を受けて建築したものであり、このようなサブリース契約については、値下げ幅は事情を考慮しなくてはいけない、としています。この類型のサブリースでは賃料減額はわずかのことがある、という結論です。

賃料減額請求が可能か否かは、3つに分かれたようです。

(1)一般のアパート賃貸のように当然に認められるもの。

(2)このサブリース契約のように、認められるものの契約時の様々な事情も考慮するもの。

(3)定期借家契約のように特約で排除されたもの。

無理なサブリースは注意です。

サブリース保証賃料でも賃料減額請求可との最高裁判決 2003年10月27日 第469号




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