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大阪高裁3度目の更新料無効判決。トラブル回避に工夫を。

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2010年6月7日 第787号
2010年5月27日に大阪高裁での3件目の更新料無効判決です。
家主は個人、賃借人は24歳法科大学院生。家賃月額53000円共益費5000円、敷金30万円、敷引(退去時に敷金から差引)15万円。2年ごと更新料106000円と更新手数料15000円でした。
「払った更新料返せ」ではなく、家主からの「払われない更新料を払え」の訴えです。
判決は裁判官の偏見と思えるほどはすさまじいものでした。

更新料の成立過程


「…賃料増額請求権があるにもかかわらず、更新料という名目で金銭を受け取ることによって、脱法的に賃料の値上げを図ったことが、更新料徴収の慣行が始まった契機である。」
「賃貸借契約期間を1、2年の短期に設定して、契約更新時に更新料をとるという利益獲得方法の旨味に目をつけた…」
「…コストと時間を要せず、…ある程度の更新手数料を取得できるために、賃貸不動産の管理業者にとっては、更新料制度は、極めて旨味のある制度…」

更新料の位置づけ


更新料は家賃の一部との議論がありますが、「使用収益期間との対応が全く認められない。」
賃貸人が異議なく更新する対価だとか賃借権強化の対価という議論に対しては、借地借家法の正当事由が存在するのだから「およそ考えられない議論…」
そして「更新料は、貸借人(消費者である一般国民大衆)が賃貸物件を選定する際に…当面必要な賃料については割安な印象を与えて契約を誘引し、結局は割高な賃料を取るのと同じ結果を得ようとする欺瞞的な目的で利用される危険…」、つまり家賃を一見安く見せる撒き餌のようなものだといっています。

消費者契約法違反で無効


「本件更新料条項は、賃借人の利益を犠牲にし、貸貸人や管理業者の利益確保を優先した不都合な制度」と断定。消費者利益を一方的に害するとし消費者契約法違反で無効とされました。
なお、このマンションは近隣物件より家賃が安いとはいえない、また更新料額は慣行がある地域でも賃料1ケ月未満がほとんどで、もっとも高い京都でも1.4ケ月であるのにこの物件は2ケ月だとの指摘もあります。
更新料と引き換えに家賃が安くなっていて、また全国に見て高くない水準だなったなら別の結果だったかもしれません。

更新料返還で甚大な損害でも


「本件更新料条項が無効となれば、本件3階建共同住宅の他の部屋の賃貸借関係にもその結果が波及し、全ての賃貸借契約について、受領した更新料を返還しなければならなくなるという、甚大な損害を被る。」との家主に対して、「やむを得ないこととして、甘受しなければならない…」と切り捨てます。
すでに京都では更新料返還の集団訴訟がおきており、一部の家主は更新料全額返還に応じ提訴を取り下げてもらっています。(大阪読売2010.1.21.)

更新料有効判決でも


大阪高裁にはただ1件の更新料有効判決(2009.10.29)がありますが、「例えば、2年間の賃貸借契約を締結し4月分の礼金を支払ったにも係らず、更新時に4か月分の更新料を支払うのであれば、………借地借家法28条の趣旨を没却(無視すること)することになる。」とあります。
当初の新契約と違い、更新なら借地借家法で賃借人は守られていて権利があり、礼金と同額の更新料はダメというのです。礼金ゼロ又は1か月で更新料1か月なら「趣旨を没却」です。

更新料は不安定でリスキー


最高裁判決待ちですが、具体的には個別契約次第でしょう。
また更新料は全国的慣行ではなく、首都圏や京都滋賀等に限られ、大阪にはありません。
トラブルが予想される更新料条項は不安定でありリスキーです。更新料を諦めるが最も安全です。もし続けるなら更新料なしで家賃が高くするか更新料ありで家賃が低くするかを賃借人に選ばせる等の工夫が必須です。

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