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繰戻し還付…今年赤字なら前年払った法人税所得税の還付

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2010年11月22日 第810号

税金還付前提の民事再生


ジャスダック上場のマンションデベロッパー、プロパストは2008年5月期に最高益を更新します。売上1107億円、税引前純利益185億円です。

しかしサブプライムローン問題の余波で資金繰りが窮したのでしょうか、その期の法人税・法人住民税・事業税のうち34億円は滞納となっていました。

2009年5月期は業績悪化で税引前純利益▲258億円。2010年1月に2010年5月期業績予想減額修正を公表し、税引前純利益は▲342億円の予想としました。

これを見て徴税側が債権確保に動きます。

1月26日に東京都が販売用不動産20物件を差押。2月2日に東京国税局が販売用不動産に参加差押と銀行預金口座差押。2月26日に東京都が賃料債権差押。

これによりマンション販売もできない、資金繰りもできない状況となったのでしょう。5月14日に民事再生手続きでの再生計画が公表されるに至ります。

この再生計画では100%減資をせずに上場継続のまま民事再生手続きを進めるというものです。そして再生計画の前提に「法人税還付請求」がありました。

差押されたままでは何もできません。そこで過年度の法人税53億円の還付を受けることで差押を解消していくのです。

赤字だと繰越欠損金として翌年以降に繰り越し、その後7年間の利益と相殺していきます。

しかし逆も選択できます。

前年度に185億円利益で53億円の法人税を払い、今年度に185億円の赤字とします。この場合に今年度の赤字を前年度の黒字から差し引きます。

そうすると前年度の法人税53億円は払いすぎとなり、還付を受けることができるのです。繰戻し還付といいます。

大企業は本来この繰戻し還付は使えません。しかし民事再生等の場合には特別に使えます。それも再生手続き開始の前年度の赤字を前々年度の黒字にぶつけて還付できます。この還付を受けるためにも民事再生でなくてはいけなかったのでしょう。


同社の決算は5月末ですので、それまでに民事再生手続き開始しないといけません。手続き開始は2010年5月18日です。ギリギリ間に合わせたのでしょう。

2009年5月期の赤字▲258億円を2008年5月期の黒字185億円にぶつけて法人税53億円の還付を目指します(実際の税務上の所得金額は不明です)。その還付金により東京都や国税局の差押を解消しようとしたのです。

予定通りに進み、早くも6月30日に還付が認められ、差押を解消しそれでも更に数億円余ったようです。なお還付請求から3ケ月経過で還付金への還付加算金(利息相当)が付くので国も急いで還付したのでしょう。繰戻し還付が前提の技あり再生計画。還付金が会社を救いました。

一般企業の繰り戻し還付


繰戻し還付は民事再生等の場合だけでなく、資本金1億円以下の会社であれば通常の事業年でも使える制度です(2009年から使えるようになった制度です)。

当年度が赤字なら前年度の黒字にぶつけて、前年度に納付した法人税額の還付を受けられるのです。事例のように前年度(すでに終わった事業年度)の赤字を前々年度の黒字にぶつけるのは民事再生等の時だけです。

繰越控除なら7年間有効ですが、7年後で控除しきれずに切り捨てられるリスクがあります。

この制度なら前年度と翌7年度の所得金額から控除できるので、全8年度の所得金額から控除となります。税務調査はあるでしょうが、大きな還付が可能ならやる価値はあります。還付金に新たな課税はされません。


青色申告なら個人も可能です。

特に個人の場合には還付金には課税はないし、帳簿にものらないお金になります。つまり債権者や関係者等に対して言わばウラ金になってしまうのです。

なお対象は国税である法人税と所得税だけで、住民税は還付の対象とはなりません。



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